なーママふわ∞ポム日記

~関ジャニ∞を中心に、時折KinKi Kidsや嵐のことをふわふわと綴るブログ~

舞台『上を下へのジレッタ』感想(後半ネタバレあり)

少し前に、関ジャニ∞横山裕さん主演舞台『上を下へのジレッタ』を観劇しました。

前半はネタバレなしですが、後半はネタバレありで書きます。これから観劇予定の方は、後半部分を観劇後に読んでいただけると嬉しいです。

 

前半(ネタバレなし)

概要

www.bunkamura.co.jp

上記のBunkamuraホームページがわかりやすいので、ぜひこちらをお読みください。

これから観劇される方へ

5月7日からスタートした東京公演は本日幕を閉じ、大阪公演へ続きます。

もう観劇した方は多いと思いますが、これから初めて観劇される方、もしくは観劇しようか迷っている方がもしいらっしゃったら、私は原作を読んでから観劇することをおススメします。

理由は、この舞台がほぼ原作通りだからです。

 

原作が描かれたのは1968~1969年、約50年前。作中には、例えば大阪万博をモチーフにした話が出てきます。特に若い方は時代背景のイメージが掴みにくいと思うので、予め読んだ方が作品の世界観をより楽しめ、さらに主人公門前市郎(横山裕)をはじめ登場人物の心情の機微を感じられると思うからです。

原作は3時間ほどあれば読めてしまう作品ですので、興味を持たれた方はぜひご一読のうえご観劇ください。

 

ここまで書いておいて…なのですが、もちろん原作を読まなくても十分にこの舞台を楽しめます。お時間のない方は観劇後に原作を読んでみて下さい。

『上を下へのジレッタ』は原作者手塚治虫の冬の時代に描かれた作品

上記公式ホームページの見どころ欄にも書いてありますが、この作品ではヴァーチャル・リアリティの世界が描かれています。つまり、手塚治虫氏は、半世紀前(日本が敗戦してから20数年後、東京五輪から4年後、大阪万博開催2年前の時代)には既に仮想現実の世界をイメージしていたのです。いや~すごい。驚きを超えて鳥肌が立ちます。

 

そんな未来志向の物語なのに、原作は暗く、白黒の世界。原作を描いていた頃の治虫氏は、力を入れていたアニメーション事業が低迷し、治虫氏自身が古いタイプの漫画家とみなされた「冬の時代」でした*1

1973年に連載がスタートした『ブラックジャック』によって治虫氏は復活を遂げますが、治虫氏の後期隆盛の原動力となった作品が『上を下へのジレッタ』なのかもしれません。

観劇を迷っている方へ

この舞台は、主演の横山さんを含めた出演者、演出、音楽、ダンス、衣装、舞台装置、小道具大道具、照明……全てが不可欠で一体となった素晴らしい作品です。

そう思うからこそ、あえて無責任なことを言います。

観劇するかどうか迷っているならぜひ当日券をトライしてみてください。

お知り合いの方からチケットを譲ってもらえそうな方は、ぜひ譲ってもらって観劇してください。

一人でも多くの方がチケットを手にし、観劇できることを祈ります。

後半(ネタバレあり)

トーリーは原作に忠実なのに、舞台では原作の白黒の世界とは対照的な色鮮やかな世界を創り出しています。

その理由を、以下私の勝手な分析で書きます。

ネタバレを含みますので、まだ観劇されていない方は、観劇後にお読み下さい。

 

【その1】演出

何度も書いた通り、原作はどこか暗く、笑うところもなく、少なくとも私の娘が読んで理解するのは難しい漫画です。私は娘を舞台に連れて行きましたが、娘には原作の内容を説明しませんでした(というか説明が難しくてできなかった)

ところが、舞台ではしばしば笑いが起こり、娘もしばしば笑っていました。つまり、老若男女問わず、作品に初めて触れる人でもストーリーがわかりやすくなっています。それは倉持さんの演出の手腕だな、と感じました。

 

BEST STAGE6月号で倉持さんがこのように答えています。

(ジレッタを)ストレートプレイでやるにはあまりにも分量の多い大河で、なかなかチャンスがなく。劇場から「音楽劇をやらないか」とお話をいただいたときに、『上を下へのジレッタ』が浮かんだんですよ。音楽でならやれるんじゃないか、って。

ジレッタを音楽劇でやろうと思いついた発想。そして、台詞だけで表現しきれない内面の機微や状況の変化を劇中歌で表すことで、原作の暗さを吹き飛ばし、作品そのものをわかりやすくした倉持さんの演出に脱帽でした。

【その2】音楽

そんな、台詞と並ぶ表現方法として重要な音楽を担当したのは宮川彬良さん。2013年までEテレで放送された『クインテット』の唯一の実写キャラであり、番組のオリジナル音楽を制作されていました。

舞台の劇中歌にはクインテットの香りを感じる曲がいくつかあり、宮川さんらしさを感じられます。

 

宮川さんのすごさは、どの曲もつい口ずさんでしまうこと。

娘は今日も「ジレッタ!ジレッタ!ジレッタ!♪」「おじゃましまーす♪おじゃましまーす♪」と歌いながら近所を歩いていました(苦笑)

舞台で使われたのはこんな明るい曲だけではないし、一度歌われた曲が最後に再び歌われる時はおどろおどろしさを帯びた歌になっていたりするのですが、こうして音楽により情景や人物の心情を表現しているのが本当に素晴らしくて。

ちなみに、先ほど娘が歌っていた部分の続きで、門前が「ちょーしんきーはもういらなーい♪」と歌うところがあるのですが、そこの門前が最高に可愛らしいんですよ!幼稚園児・横山裕みたいな可愛らしさです(笑)

【その3】衣装

しょこたん演じる小百合チエは、飢餓状態になると絶世の美女になるが、お腹が満たされるとその美貌を失う役です。どうやって見た目を表現するんだろう?と思っていましたが、衣装や小道具によりちゃんと表現されています。

チエだけでなく、その他の登場人物も、細かい衣装のチェンジで心情の機微が表現されています。(以下、私の勝手な解釈なのでご容赦ください。)

 

門前は冒頭、テレビ局の意向を無視し自分のやりたい番組をやり切ります。その野心に満ちた時、門前は黒ジャケットの下に白シャツと黒ネクタイをしています(ポスター写真と同じ)。

ところが、門前がチエの恋人・山辺ともみ合いになり、山辺がビルの底に落ちてしまった後、門前はノーネクタイで黒シャツの衣装に変わります。つまり、ジャケットもパンツもシャツも黒。見た目真っ黒です(ゆえに顔の白さは際立つ)。偶発的とはいえ人の命を奪ってしまった、そんな罪を心の中に背負ったことをシャツで表現しています。

その後、門前はジレッタを使って再び天才プロデューサーの道へと成り上がっていきます。その時は、先ほどの全身真っ黒の衣装に白ネクタイが加わります。成り上がったことを表現したように私は解釈しました。

そして、恋人のリエに「凡人に成り下がった」と言われ別れを告げられた門前は、再び全てを捨てて自分がやりたい表現を山辺にやらせます。この時は最初の白シャツに黒ネクタイ(ポスター写真)に戻ります。門前が野心を取り戻したことを表現したのかと思います。

 

このように、門前の衣装の一つとっても心情の機微が表現されていますし、その他の登場人物についても同じです。門前の心情の変化を際立たせるためにあえて白黒の世界にこだわったであろう原作の表現とは対照的に、舞台ではその他の登場人物に色彩豊かな衣装を取り入れることによって、ジレッタの世界をとても鮮やかに表現する一方、門前の白黒をも際立たせるよう工夫しているな、と感じました。

【その4】最後のシーン

原作を読み終わってから、最後のシーンが舞台でどう表現されるか楽しみでした。

最後のシーンまでの間には、特に竹中直人さんがアドリブを連発するので、一瞬だけ門前でなく横山裕が出現するところが見られたりするのですが、最後のシーンは完全に横山さんは門前でした。この最後のシーンは、妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』を、原作の暗く重い世界観に一瞬にして引き戻す瞬間です。これがね、本当に素晴らしい演出だし、歌だし、大道具小道具だし、ダンスだし、何よりも横山さんの演技力なんですよ。2度見ても、2度とも私は息ができなくなった瞬間だし、娘も2度目はそのシーンが来ると分かっているのに私にしがみつくほど緊張感と迫力のあるシーンでした。本当に素晴らしいんです。

ちょっと愚痴(嫌な方はスルーしてください)

せっかくの素晴らしい舞台なのに、開始当初に嫌なものを見てしまったので少しだけ。嫌な方はスルーしてください。

手塚治虫は大漫画家ですから、コアなファンもたくさんいるし、世界観を壊されることを嫌います。それを最も恐れる治虫氏の親族による「原作を気にせず楽しめる」「ジャニーズファン以外にもチケットが回れば良かったのに」というニュアンスの言葉は、カンパニーへの最大の褒め言葉です。原作側からは簡単に言えない言葉ですから。

そして、舞台は主演だけのものではありません。そこはファンが心得るべきだと私は思います。今後も、横山さんだけでなく、安田さん・大倉さんの舞台でもいろんな意見が出ると思いますが、意に沿わない意見へファンが攻撃することがないよう願います。

最後に、門前市郎を演じる横山さんを観て

まず、横山さんがボイトレに通った成果は顕著に見られました。発声の仕方・口の開け方が全然違います。音程は、気になる人もいるとは思います。

ですが、先ほども言った通り、この舞台は究極のところ最後の数分のシーンを演じられる役者として横山さんが選ばれたと私は思っています。横山さんって顔や立ち姿の演技が上手いし、つい視線を向けてしまうんです。衣装は白黒とシンプルだからこそ、横山さんのそういう顔や姿の演技が観られて眼福でした。

 

それと、今回初めて分かったのが、横山さんの手の長さ。他の役者さんと横に並んだとき、頭一つ分横山さんの方が背が高いのに、下げられた手の爪の先が横の役者さんと同じ位置なのを目の当たりにしたとき「横山さん、手、長っ!」と思わず心の中で叫びました。関ジャニ∞の中にいるときに気づかなかったのは、やはり関ジャニ∞が高容姿集団だからなんだな…としみじみ。

 

そして、横山さんが「虚構の世界~~~♪」と歌うと、「いや、横山さんそのものが虚構だよ…」と溜息をついてしまうほど美しくて。

でも、カーテンコールで挨拶した横山さんはいつもの横山裕で、現実に存在していたことを実感しました(当たり前)。私が観劇した回で相葉ちゃんが来ていたからか、スタンディングオベーションには「あっ!」としてニコっとした表情を見せてくれましたよ*2

 

横山さん、カンパニーの皆さん、素敵な舞台をありがとうございました。

残りの公演が少なくなりましたが、最後まで皆さんが駆け抜けられるよう祈っています。 

*1:ウィキペディアより引用

*2:相葉ちゃんもスタンディングオベーションしていたらしい